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2007年03月23日

近代建築の五原則

年末にヨーロッパを建築行脚してきたMさんが,先の月曜塾例会で撮ってきた写真を見せてくれました.その中にあったひとつがル・コルビュジエ設計の「サヴォア邸」でした.写真を見ながら,かつて大学に入って間もない頃,この住宅(正確には別荘)のスライド写真を見せられて「近代建築の5原則」について教わったことを思い出しました.おそらく建築を学ぶほとんどの学生が同じような体験をしていると思います.
「近代建築の5原則」とは「ピロティー」,「屋上庭園」,「自由な平面」,「横長の窓」,「自由なファサード」です.一般の方には何が何だかよくわからないと思いますが,要はそれまでのヨーロッパにおけるレンガや石を積み上げた伝統的な組積造の建築ではできなかったことで,産業革命以後の技術革新における鉄骨造や鉄筋コンクリート造によって建築的に可能になったことを5つあげたということだと思います.
チャンディガール01
画像はル・コルビュジエが都市計画をしたインドの都市・チャンディガールです.

ル・コルビュジエの唱えた近代建築には,世界中どこであっても同じスタイルの建築といった指向がありましたが,この5原則のバックグラウンドには色濃くヨーロッパの伝統があったという意味ではかなりローカルな考えでもありました.なぜなら日本の伝統的な木造の軸組工法ではこの5原則をもともと達成していたとも言えるからです.「屋上庭園」だけは日本の伝統的な建築にも無かっただろうといわれるかもしれませんが,藤森照信さんによると茅葺きに屋根の上にいろいろな植物を植えていたようなので,これが屋上庭園のようなものだということだと言えなくもないと思います.そもそも「原則」といわれるとどうしてもそうしなければならないことのように感じてしまいますが,本来は「こんなこともできるようになりましたよ」くらいのことなんだと思います.
チャンディガール02

チャンディガール03
チャンディガールはインドの北西部・パンジャブ州の州都です.そこに州政府の一連の建物があるのですが,コンクリート打ち放しのそれら「近代建築」はどうにも救いがたく殺伐としていました.このあたりはほとんど砂漠と行ってもいいような風土で,そこに色のないコンクリートの建物ではあまりにも寂しすぎます.さらに近代的な建物と道路の合間を行き交っているのがよれよれのオート三輪や自転車ばかりで,そのミスマッチばかりが目に付きました.
日本には国立西洋美術館というル・コルビュジエ設計の建物があります.緑濃い上野の森の中ではコンクリート打ち放しの建物もまだなじめますが,砂漠の中のそれはどうにも寂しすぎました.結局建築は場所を選ばない汎用的なものではなく,その風土気候に合った表現でなければならないものなのだと思います.
ロックガーデン01

ロックガーデン02
よっぽどの建築オタクでなければ訪れることのないチャンディガールですが,ロックガーデンという公園は楽しいです.石やその他の廃材で作られた人間や動物の人形が並ぶ公園です.無味乾燥なインターナショナルなものより,ちょっと怪しげだけどその土地独自の土着なものの方が楽しいものです.

2007年03月19日

「地材地消モデル住宅」公開のお知らせ

現在,私の設計で弟子屈町美留和で建設中のTM邸は,地場産のからまつを構造材に使った「地材地消モデル住宅」で,そのからまつによる軸組があらわしになっている建設途中の状態を,一般の方々に公開することになりました.期間は平成19年3月27日と28日の二日間,時間は9時から16時の間です.場所は国道391号線沿いの美留和近郊(さけますふ化場近く)ですが,見学ご希望の方はこちらのページからメールをお送りください.折り返し,詳しい案内図等の資料をメールでお送りします.
からまつの製材
画像は今回の現場で使われる人工乾燥を終えたあとのからまつの柱です.

この事業は,設計者,工務店,木材供給者,そして行政が一緒に取り組むもので,地域産からまつ材が現代の住宅における主要構造材として十分な性能と耐久性・信頼性をもつ素材である事を広く世間にPR し、さらに地域産材を利用する事による環境負荷の軽減や地域雇用の確保、森林・流域の自然保護・地域循環型経済といった「地材地消」「産消協働」の取り組みを広く理解していただく事を目的としています.
なお,建設中の現場ですので,見学される方は,安全には充分気を付けていただき,大工さんや現場関係者の指示に従っていただくようにお願いいたします.
含水率の計測

2007年03月06日

北海道の建築家による住宅展

(社)日本建築家協会北海道支部主催の「北海道の建築家による住宅展」が下記の通り開かれます.
日時:2007年3月7日(水)~3月11日(日)
am11:00~pm7:00 最終日のみpm6:00終了 入場無料
場所:ほくせんギャラリー・アイボリー
   札幌市中央区南2条西2丁目 ほくせんブロックビル4階

北海道の建築家による住宅展

去年の末に発刊された建築家カタログ  北の住まいを建築家とつくろう  Vol. 3に掲載の人の展示です.
私もパネルを出展しています.札幌近郊にお住まいの方はぜひお越しください.