« 2006年08月 | コラム トップ | 2006年10月 »

2006年09月26日

窓周りの結露対策

北海道のような寒冷地での住まいづくりで気をつかうことのひとつが結露対策です.特に窓周りは要注意です.最近の断熱サッシとガラスは性能が良くなったとはいえ,やはり普通の壁の部分に比べると断熱性能が劣るため,結露が生じやすいのです.中でも北向きの窓,掃き出し窓のように大きな窓,出窓は熱が逃げやすいので,結露も発生しやすいところです.
窓下のパネルヒーター
一般に温水のパネルヒーターで暖房する場合は画像のように窓の下に設置します.この住宅の場合はメインは床暖房なのですが,この窓が北側に位置する比較的大きな窓なので,結露とコールドドラフト(窓面で冷やされた空気が重くなり下降気流となって床面を冷たい空気が流れる現象)を防止するためにパネルヒーターを設置しています.

掃き出し窓の結露対策
これは掃き出し窓の場合で,腰壁がないので床上にパネルヒーターを設置できないため,床下を掘り込んだかたちでコンベクタータイプの温水暖房を設置し,ガラリで熱が上がってくるようにした例です.木製のガラリは簡単に取り外せて,中のほこりが容易に掃除できるようにしてあります.
出窓の結露対策
出窓の場合はまず間違いなく結露します.人間の身体もそうですが,手の先や耳の端などの飛び出したところが一番冷えやすく凍傷になりやすいように,建物でも出隅(角の部分)や出窓のように飛び出したところはもっとも熱が逃げやすく,したがって結露しやすいのです.そのようなわけで,画像のように出窓を作る際は必ず下にパネルヒーターを設置し,天板に穴を開けて窓面に暖気が上がるようにしています.
結露対策はやりだすときりがないし,住まい方(換気の仕方や観葉植物を置くかどうかなど)によって結露するかしないか相当変わってくるので,実際には,クライアントと打ち合わせを重ねる中で妥協点を探し,予算の範囲でできることをすることになります.「結露しない家を設計してください」といわれても,住まい方によっては結露しますよというのが正直なところです.

今週は明日から土曜日まで出張なので,コラムの更新はその間お休みします.

2006年09月25日

ラッフルズ・ホテル

若い頃,アジア・ヨーロッパを旅していたときは貧乏旅行でしたから,とにかく安い宿を泊まり歩いていました.というよりも旅費の中で宿泊費のしめる割合はとても大きかったので,いかに安くていい宿を見つけるかということはバックパッカーにとってとても重要なことでした.シンガポールという都市国家はバックパッカー泣かせであのあたりではダントツに物価が高く,安宿も少なくてあまりのんびりできない街でした.結局私が泊まったのは大部屋にベッドがたくさん並ぶいわゆるドミトリーというタイプの宿でしたが,それでも宿泊代はかなり高かった覚えがあります.部屋は男も女も一緒で,ヨーロッパの女の子が突然胸をはだけて着替えたりすると目のやりどころに困ってドギマギしたことを覚えています.
ラッフルズ・ホテル
泊まることはできなくても,とりあえずラウンジでお茶くらい飲んでこようと行ったのがかの有名なラッフルズ・ホテルです.私としては一番きれいな服を着ていったつもりですが,やはり場違いな思いをした記憶があります.

最近はさすがに安いだけでなく,事前に調べてインテリアなどが気になるホテルにできるだけ泊まるようにしています.といってもそう機会は多くないのですが・・・.
世界中のリゾートホテルについての写真集三好和義著「HOTEL楽園」にもラッフルズ・ホテルが紹介されています.この本を見ていると,バリのアマンリゾートなど,一度行ってみたいと思います.
もう一冊ホテルに関する本でおもしろかったのが稲葉なおと著「まだ見ぬホテルへ」です.こちらも世界中のホテルでの体験が美しい写真と共に紹介されています.

2006年09月21日

水越武写真展

北海道立釧路芸術館「大地への想い 水越武写真展」が開かれています.私は16日の日曜日,ご本人が作品について説明してくれる「アーティスト・トーク」にあわせて行って来ました.
水越さんは現在弟子屈町在住ですが,世界中の大自然を撮り続けている写真家です.今回はその代表作200点あまりを一堂に紹介する展覧会で11月15日まで開かれています.(月曜休館)
水越武写真展チケット

この写真展の作品には建築はおろか人工のものはいっさい写っていません.あるがままの雄大なあるいは繊細な自然の姿ばかりです.それでもこの私の建築に関するコラムでご紹介したいと思ったのは,人間の営み,特に建築を作るという行為は地球という美しい環境の中でその一部を借りているのだという意識をいつも持っていたいと思うからです.水越さんの作品を見て,荘厳でそしてあまりにも美しい自然の姿にふれて,あらためてその思いを強くしました.
水越さんは現在は私が生まれ育った弟子屈町にお住まいですが,初めてお会いしたのはとても意外な場所でした.パキスタンにあるナンガ・パルバット(標高8125m)の南壁(ルパール壁)側のベースキャンプでした.パキスタンはネパールとは違い,トレッキングの施設が整ってはいません.当時(1989年)ここに行くにも私はガイドとキッチンボーイを雇い,かなり苦労して行きました.ところが到着するとそこには東京農大の遠征隊がキャンプを張っていて,それに同行していたのが水越さんでした.
パキスタン

ベースキャンプ
意外なところで日本人に会って,うれしくなっていろいろ隊の方々とお話しているうちに,水越さんが私の生まれ故郷に現在お住まいだということも知りました.本に飢えていた私に貴重な本を貸していただいたり,夜はテントに招いていただいて,とてもおもしろい話を伺いました.
また,東京農大の方々にはとてもお世話になりました.日本を離れそうとう日時が経っていた私に白いご飯とみそ汁,目刺しや梅干しといった日本食を食べさせていただきました.涙が出るほどうれしかったです.
nanga01 (2).jpg
これがルパール壁です.当時水越さんにお借りして知った本ですが,ヒマラヤの登山史についてはクリス・ボニントン著「ヒマラヤ冒険物語」(岩波書店)がとてもおもしろいです.このルパール壁についても超人メスナーが登った話など,一度読み出したらとまらない面白さです.

辺境の地を旅することがどれだけ体力・気力のいることか,私なりに知っているつもりなので,今なお継続的にそれを続け撮影をされていることにとても尊敬の思いをいだきます.

水越さんの作品については協同組合日本写真家ユニオンのこちらのサイトで多くの作品を見ることができました.

2006年09月19日

景色の見える洗面化粧台

カタログから製品を選ぶだけでなく,状況に応じてそれにあったものを作っていくのも住まい作りの醍醐味のひとつです.
景色が見える洗面化粧台
画像はそのひとつの例で,外の景色を楽しみながら使うことのできる洗面化粧台です.一般に洗面化粧台は正面に鏡があって顔を映すことにことになりますが,ここでは正面のきれいな景色を見ながら,なおかつ左右の収納を兼ねた造作のキャビネットの鏡を斜めにすることで,顔が見られるようにしました.クライアントとの度重なる打ち合わせで出てきたアイディアです.

キャビネット内部
キャビネットの内部は画像のように小物を収納できる棚になっています.既製品を使ってはどうしてもこのようなことはできませんから,建具屋さんに製作してもらいました.多少手間はかかりますが,こんな仕掛けでどれだけ日々の暮らしが豊かになることでしょう.
埋め込み式三面鏡
この画像はこの家にもうひとつある洗面所の壁に埋め込んだ化粧鏡ですが,鏡のついた扉が三面鏡になっていて,さらにその裏は収納になっています.
確かに既製品の樹脂製洗面化粧台は,メンテナンスはしやすいのかもしれませんが,面白さに欠けるかもしれません.住まい方のこだわりに応じて,こうしたオリジナルの造作をするのもひとつの方法です.また,そうした要望にお応えするのが私の仕事だと考えています.

2006年09月17日

フランダースの犬

ベルギーやオランダはヨーロッパの中では比較的小さな国ですが,とても美しい魅力的なところです.周りをイギリス・フランス・ドイツなどの大国に囲まれていて,とても国際色が豊かな感じがします.おみやげやさんに行っても店主のおじさんが平気で5ヶ国語くらい話します.島国の日本人には信じられないことです.
アントワープ グロート・マルクト
画像はベルギーの小都市・アントワープです.

ヨーロッパのこのような歴史ある街をたずねていつも思うことは,無秩序な看板・サインなどがなく景観がとても美しく守られていることです.建物も石造が主流で,長く大切に使うという文化が浸透しているからですが,とてもうらやましく思います.
この街は日本人にとってはアニメ「フランダースの犬」でもおなじみです.
ノートルダム大聖堂外観
主人公ネロ少年が見たいと願ったルーベンスの絵があるのが画像のノートルダム大聖堂です.1520年に完成したゴシック様式の教会です.
ノートルダム大聖堂内観
白亜の内部は息をのむような美しさです.画像にはありませんが,ステンドグラスも素晴らしい教会でした.

もうひとつ,建築とは関係ありませんがベルギーというとビールです.一般にビールはドイツが有名ですが,国民一人あたりのビールの消費量が最も多いのがベルギーだと以前何かの資料で読んだことがあります.種類も豊富で,さまざまなタイプのものがあります.ビール大好きの私にとってはもう一度たずねたい国です.

2006年09月13日

中国のトイレ

今日はやや尾籠な話で恐縮ですが,中国のトイレについてです.ツアーで大きな西洋式ホテルに泊まり続けるなら問題は無いのでしょうが,貧乏旅行で中国の一般の人たちが泊まるような旅社に泊まるとなると直面するのが,画像のような中国式トイレです.
中国の公衆トイレ
ここはまだ撮影に耐えられる状況だったので撮りましたが,もっともっとひどいところがたくさんありました.人々は前向きでつまりお尻を奥に向けて用を足します.わきあいあい,隣の人とおしゃべりをしている人たちもいます.

私も正直に言って最初にこのトイレを見たときは絶句しました.しかし,出るものは出るので,つべこべ言っていられずに用を足すことになりました.ただ,同宿の知り合いの日本人と一緒になったときは本当に気まずかったです.挨拶していいものかどうか・・・.
メコン川の連絡船
雲南省の南部,メコン川が流れる西双版納(シーサンパンナ)という地方に行ったときにはさらに悲惨な思いをしました.40度近い高熱と共に激しい下痢になり,ふらふらになりながら,病院にたどり着き,そのまま入院し点滴を受けることになりました.点滴を受けながらも下痢は止まらず,トイレに行きたいと言うと看護士(男性)の人が点滴の瓶を持ってくれて,くだんのような病院敷地内のトイレまで一緒に行ってくれました.私がトイレで苦しんでいる間,前方には小用を足している現地の人たちが出入りし,私のことを珍しそうに見ていきます.傍らの看護士はそのたびに,私のことを旅行中の日本人だと説明するのでした.もちろん,中国語はわかりませんが,日本人を意味する「リーベンレン」といった発音の言葉だけは私にもわかりましたからだいたい想像はつきました.あれほどみじめだったことはありません.ただ,看護士の人々も悪意があった訳ではなくけっして楽ではない仕事を献身的にしてくれていたのですが・・・.
高床式住居
最後の画像は,西双版納の農村で見られる民家です.入母屋の屋根でちょっと日本の家屋に似ています.大きな違いは高床式になっていて,住まいが2階部分にあり,下では鶏や豚の家畜を飼っていることです.このような家ではトイレの排泄物が直接地上に落ち,それらを下にいる家畜が待ちかまえている仕組みになっています.そのような環境が中国にはたくさんあるので,鳥インフルエンザがこのあたりから発生するというのも納得のいくことです.

2006年09月10日

木造住宅の耐震強度(その3)

建物に加わる横方向の力(外力)には風圧力地震力があります.建築基準法でも,これらの外力に対して建物が倒壊しないように筋交(すじかい)などが入った耐力壁を設けるようにとの規定があります.
木造住宅軸組図
木造在来工法の骨組み(軸組)を簡単に述べると,基礎の上に土台を敷き,その上に柱が立ちます.柱の頂部を桁,もしくは梁がつなぎます.土台と柱,柱と桁の各接合部(仕口)は基本的にはピン接合と呼ばれるもので,自由に回転します.ちょっとわかりにくいかもしれませんが,図の上のほうのように,横方向から力が加わると,簡単に変形し倒れることになっています.

それではまずいので下の図のように,これに斜めに筋交を入れることにより,軸組は変形しないで横方向の力に耐えられるようになります.もしくは軸組全体に板状のものを張ることによっても変形を防げます.
木造在来工法の筋交の画像
結局,木造の住宅ではそうした耐力壁がたくさんあったほうが,地震に強いといえます.そしてもうひとつ重要なのは,この耐力壁がバランスよく配置されていることです.一般に南側は太陽の陽をいっぱい入れたいので,窓が多くなり壁は少なくなりますが,北側は逆に壁が多くなります.そのように耐力壁のバランスがかたよる(偏心した状態)と,地震の時に壁の少ない弱いところに力が集中し,建物が壊れることになります.
吹き抜け部分の補強例
大きな吹き抜けがある場合も,水平面の剛性が少なくなって弱くなる場合があります.画像はそれを補うために梁をもう一本入れて補強した例です.ついでに間接照明的な光源も入れてあります.
道東は地震の多い地域なので,地震対策にはいつも気をつかいます.わが家の食卓にはかつてガラスでできたペンダントがふたつ並んで下がっていましたが,地震の時に揺れてぶつかってひとつが割れてしまいました.以来,ペンダントはひとつのままです.そんなことにも気をつけなければなりません.

バックパッカーのオアシス・カトマンドゥー

ネパールはアジアを旅するバックパッカーにとってオアシスのような休憩地です.陸続きのインドもとても魅力的な国ですが,インドを長く旅してネパールに行くと自分がいかにインドで緊張していたのかがわかります.それほどネパールは心の休まる国です.
カトマンドゥの子供達
そのネパールの首都がカトマンドゥです.

地勢学的にはブッダの生誕地であるルンピニなど南部のインド国境に近い低地は亜熱帯の気候ですが,北部はヒマラヤ山脈の高地です.首都カトマンドゥはちょうどその境界あたりにあります.元々,国王による絶対君主制でしたが,近年様々な変化があるようです.海に面していなくて,様々な輸送をインドを経由しての輸送に頼らなくてはならず.私が訪れている間もインドとの関係が悪化して流通が空輸以外ストップしていたことがあります.観光以外に外貨の獲得機会が無く国家予算の大半が国際援助で,なかでも日本が最大の援助国のはずです.
カトマンドゥのヒンドゥ寺院1

カトマンドゥのヒンドゥ寺院2
インドではヒンドゥ寺院はほとんどすべて石造ですが,ここでは木造と石造の混構造になります.もともと仏教の発祥地でもあり,北部はチベット仏教の人たちが多いので,南部のヒンドゥ教とさまざまミックスしたかんじです.
ヒンドゥーの神様
バックパッカーがゆっくりくつろげる宿があり,安くておいしい食堂があり,古本屋やユーズドの旅行用品を扱う店がありと,とても居心地のいい街でした.今はどうなっているのでしょう.もう一度行きたい街です.

2006年09月08日

木造住宅の耐震強度(その2)

ここでは在来工法の木造住宅を前提に話を進めます.
木造住宅で構造強度を検討するとき,その建物にはたらく力には大きく分けて鉛直方向の力(荷重)と水平方向の力(外力)があげられます.(このほかにも土圧や水圧などもありますが,今回は木造の架構に関連することだけに限定します.)この内,地震による力は主に横方向の力で,後者の外力の一種ですが,今日は前者の鉛直荷重について述べたいと思います.その意味では耐震強度についてというより,一般的に木造の強度についての話です.
鉛直荷重

鉛直荷重は地球の重力によって生じるもので,建物自体の自重(固定荷重)と,建物に入ることになる人や家具などの荷重(積載荷重),それに北海道のように雪が降る地域では屋根に積もる雪の重さ(積雪荷重)があります.
これらの重みによって,木造の架構で検討しなければならないのが梁と柱です.梁は重いものが載ると当然たわみますので,重さに応じてそのたわみぐあいが一定範囲に収まるように断面の大きさを検討しなければなりません.重たい荷重がかかる場合や梁のスパン(長さ)が長い場合はそれなりに断面を大きくすることになります.それが不足していると,歩いたときに床が揺れたり,あるいは下にドアなどの建具があった場合,たわんだことによって枠が変形しその建具が開かなくなるという現象が起きます.
柱の場合も,その長さと断面の大きさが問題になります.柱が長くて断面が小さいと図の右のように上からの荷重がかかったときに柱が折れ曲がることが起きます.これを座屈(ざくつ)といいます.座屈が起きないようにするにはより太い柱にする必要がでてきます.
今日は難しい言葉がいっぱい出てきて,読みづらかったかもしれません.

梁についてですが,元々北海道では地元で採れるエゾマツ・トドマツの針葉樹を使ってきました.一般に流通しているものは日本農林規格(JAS)に則っていて,一番長いもので12尺(3.65m),断面も105mmX300mmが最大で,これを超えるものは特注しなければなりません.ですから,そのような梁が必要な場合は軽量鉄骨を使うのが常でした.しかし,から松を使った構造用大断面集成材が普及するようになってからは,鉄骨を使わずにすべて木で架構ができるようになりました.集成材は簡単に言うと小さな木材を接着剤で張り合わせて大きな断面と長さにすることができるものです.これにより,長さや断面の大きさの制限が無くなりました.また,から松はもともとエゾマツなどよりも堅く曲がりにくい性質なので,強度的にも強いものができます.
MZ邸室内大梁
画像は4間(7.28m)の大梁にから松の集成材を使った例です.北海道は断熱の関係で,壁はどうしても大壁になるので,柱はなかなか見えてきませんが,断面の大きな梁は見えるようにしてできるだけ構造を視覚化するのが私は好きです.

2006年09月05日

木造住宅の耐震強度

昨年末発覚したいわゆる耐震強度偽装事件により,建築士の資格についての建築士法の改正,建築確認制度に関する建築基準法の改正など,建築に関連する多くの法制で現在見直しが検討されています.私も毎日のように伝えられるそれらの情報に,目が離せない日々です.その中でも先日木造住宅においても建築確認において耐震強度の審査が義務化された<朝日新聞記事へのリンク>という報道がありました.これまでは確認申請において構造計算の審査が義務づけられていたのは鉄筋コンクリート造などの大規模な建物で,2階建て以下の一般的な木造住宅は建築士の設計であれば審査は除外されていました.
木造在来工法の軸組

ここで勘違いしてはいけないのは,建築基準法では元来木造住宅において構造強度の検討が不必要だったわけではなく,必ずしなければならないことになっているということです.ただ建築士が設計している場合には,その検討が信用できるので,検査機関での審査は必要とされていなかったということです.しかし実際には,それらの検討がされていなかったり,あるいは強度不足がわかっていながら設計されていた例がたくさんあったということなのだと思います.
当然のことですが,私は構造強度についてはいつも入念に検討して設計しています.でも正直にいって悩むのはデザイン的にはこうしたほうがいいけれど,それでは構造的に弱くなるということがわかっている場合です.具体的な例をあげると,建物の出隅の部分(角の部分)を窓などの開口部にすると,とても開放感が出ていいのですが,構造的には弱くなります.私は基本的には出隅は壁にするように計画しますが,どうしても開口部にしたい場合はその他の部分で充分強度がとれていることを確認することにしています.これは本当に単純化した例で,実際の設計作業では多くの要素を同時に勘案しながら作業を進めます.

木造住宅の強度については多くの方が興味を持っていられると思うので,これについては何度かに分けて取り上げたいと思います.
それにしても,一連の事件により,われわれ設計者(建築士)の信頼が失墜したこと,重く受け止めています.自分はそんないい加減なことはしていないという思いから,問題を起こした当事者,それを許した制度に憤りを覚え原因を押し付けるのは簡単ですが,同じ職能の者としてさらに発展的にこれから自分に何ができるかを考え続けていかなければならないと思っています.