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2007年11月23日

釧路根室圏総合体育館建設現場の見学

11月22日に建設中の釧路根室圏総合体育館を見学してきました.(社)北海道建築設計事務所協会釧路支部の主催です.
体育館遠景
メインアリーナの屋根を構成する立体トラスの組み立てが見学の主旨でしたが,当日はほぼ氷点下の気温でしかも風が強く,およそ5階建てくらいの高さまで足場を上ることとなりなかなかスリル満点でした.
立体トラス組み立て現場
体育館の大きさを実感してきました.

足場が組まれていますが,地上15メートルほどの高さです.地上に戻ってから立体トラスの部材を詳しく見せてもらいました.スチールの棒をボールジョイントにねじ込んで三角形を作りながらトラスを形成していきます.立体トラスそのものはコスト的に有利にならないそうですが,屋根の重量が軽くなることで下部構造でコストダウンがはかられたそうです.
ポールとジョイント

ボールジョイント
今現在,出来高はおよそ70%で,来年9月にオープンの予定です.完成が楽しみです.

2007年11月10日

北海道新聞釧路印刷工場

さる11月1日に月曜塾で北海道新聞釧路印刷工場(愛称「しんクル」)を見学してきました.残念ながら施設内は撮影禁止ですので外観のみの紹介です.北海道新聞(通称:道新「どうしん」)は北海道では圧倒的にシェアを占める新聞社です.例外的に十勝地方では十勝毎日新聞が道新をしのいでいるそうですが.
北海道新聞釧路印刷工場外観

まずはエントランスで記念撮影をして,その画像がその後号外のようなかたちで印刷されておみやげにいただけます.午後1時半からの見学ですが,ちょうど夕刊の印刷にあわせて工場が稼働するのを見ることが出来ます.印刷の過程はほとんどが自動化されていて,人はあまりいません.紙面の編成はすべて札幌の本社でするとのことでしたが,そこからデータが届いて印刷を開始し,梱包されるまでわずか20分で出来るとのことです.実際印刷される状況を見ていても目にも留まらぬ早さです.

この工場の特徴は免震構造です.地震の多い釧路だから取り入れたものとのことです.実際に地下の免震構造も見学させてもらいました.大きな鉄のスプリングや積層ゴムが基礎とその上の建築物の間にあり,地震の揺れを減衰するようになっています.建物そのものよりも内部の印刷機械を守ると言う意味での採用かと思います.
建築物の地震に対する構造計算の考えは第一義に大きな地震が起きても大きく倒壊しないで中にいる人が命を守るという前提です.つまり地震で壊れてその後は使えなくなる,つまりは資産価値が無くなるということもありえるけど,とにかくぺしゃんこにはならないということなのです.あとは費用対効果で,どれだけ対策を講じるかの問題になります.免震構造もかなり費用がかかりますが,高価な機械を守るという意味,さらには大震災でも新聞を発行することが出来る機能を維持するという意味合いが強いかと思います.

2007年11月09日

登録林分

さる10月24日に北海道木質構造開発協議会の活動で釧路市音別町にカラマツの登録林分を見学してきました.登録林分,聞き慣れない言葉です.実は見学中もこの言葉の意味がはっきり解らずにいて居心地の悪い思いがしていましたが,帰ってきてからネットで調べてすっきりしました.林分(りんぶん)とは香川県のこちらのサイトによると「林相(構成樹種、樹高の均一さ)がほぼ一様で、しかも周囲の森林とはっきり区別ができるような林地。」と解りやすい解説がありました.今回見学したのは民間の所有ですが,植林されてから54年と53年を経たカラマツの植林で,なおかつ行政機関(北海道)によって価値のあるものとして登録されたところです.紅葉の始まった森は色鮮やかで森の香り(フィトンチッド)を満喫しました.
カラマツの登録林分

この林地を実際に管理されている方のお話を聞きながらの見学でしたが,あらためて森(植林)を維持していくことの苦労を知りました.ひとつには節が少ない木材にするために枝打ち(生育途中で枝を切り落とす作業)をしなければなりません.そして成長のいい木を残しそうではない木を間引く間伐の作業があります.もちろん伐採したあとには新たに苗木を植えなければなりませんが,近年増えているエゾシカの被害にも苦労しているとのことでした.
苗木
画像はまだ若い苗木ですが,表皮をエゾシカに食べられています.最頂部の部分を食べられてしまうと育たなくなってしまうそうですが,それ以上に大きくなると大丈夫とのことです.

rf02.jpg
強風で倒れてしまった木を目の前で切ってもらいました.チェーンソーで切り出すとさらに木の香りが漂い,切り株も美しく,森を堪能した瞬間でした.

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ここには全道で9番目に高いカラマツがあります.測定した平成9年の時点で樹高が32メートルですから現在は40メートル近くあるかもしれません.

セミナー会場
音別町で岩魚と行者ニンニクの天ぷらが載ったおいしい丼をいただいたあと,午後は「地域産木材活用セミナー」に出席しました.酪農の施設に地場産の木材が活用されていることが解りました.農業は人間の営みの原点である食を支えるものですから,まさにスローフード運動のように地域で循環出来ればという思いを新たにしました.

2007年11月01日

金山ダム管理所

月曜塾の観楓会二日目,やや二日酔いと寝不足気味のオヤジ達でしたが,そろって朝食をいただきログホテル・ラーチを出発しました.まずは近くの金山ダムへ向かいました.様々な土木建造物の中でもダムほどその巨大さに驚かされるものはありません.このダムの特徴は中が空洞になっている中空重力式ダムと呼ばれる構造にあるそうです.
金山ダム
ログホテル・ラーチのあるかなやま湖はこの金山ダムが出来たことによる人造湖で,空知川のこのダムの水は富良野,芦別などを経て石狩川に合流します.ずいぶん遠くまで流れていくものです.

金山ダム管理所
このダムには管理所の建物があります.画像のようにまるで一昔前に未来都市の建物として描かれていたようなとても近代的な建物です.2階が管理部門のようですが,1階はダムの役割やしくみについての展示ホールになっています.ガラスのカーテンウォールとコンクリートの打ち放し,内部の床は全て石貼りというとてもお金のかかっている建物で,一同驚きつつ見学しました.
建築の設計に携わる者として,予算をかけて優れた建築を建てることに異論はありませんが,その一方で納税者の一人として,はたしてこの施設にこれだけ予算をかける必要があったのだろうかという疑問が生じます.いかにも予算を使い切ろうと思ったらこんなのが出来ちゃいましたといった感じがするのです.内部の展示においてもダムの重要性といったことがとてもわかりやすく解説されているのですが,それを見れば見るほど,実はダム不要論から建設反対を唱えている人々の意見のように,実はとんでもない無駄遣いが隠蔽され行われているのではないかという思いも沸いてきます.国が大きな借金を抱え,様々な社会保障費が削減され,財政再建が叫ばれる中,もっと本当に必要なお金(税金)の使い方があるのではないかという思いがしました.

ほおの木
そんな複雑な思いをあとに一行は帰路につきました.狩勝峠を越えて十勝千年の森に立ち寄り,昼食においしい手打ちそばをいただきました.富山県から移築された合掌造りの建物です.山羊の乳から作るチーズ工房なども見学し,釧路に帰ってきたオヤジ一行でした.
月曜塾のオヤジ達