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暖房のランニングコスト

 ここ数年私が設計してきた住宅は,深夜電力を利用した蓄熱式の暖房ばかりでした.場合によって補助的に融雪電力を使ったり,あるいはオーナーさんの意向でペレットストーブや薪ストーブを併設することもありましたが,メインの暖房は深夜電力でした.それというのもランニングコストが灯油など他の熱源に比べて安かったからです.

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温熱環境の計画

私が事務所に使っている建物はもともとは「コージィベール摩周南」という温泉付き分譲地のセンターハウスです.豊富な温泉を利用してその熱で暖房しています.これまで寒いと思ったことは無かったのに今年はちょっと事情が違いました.1月の上旬,ものすごく寒い日が続き,部屋が暖まり切らなくなりました.最低気温が連日-25度以下になり,一日の平均気温が-17度といった日が一週間くらい続いたのです.さすがに暖房能力が追いつかなくなったのでした.
厳寒の日の出

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薪ストーブ

北海道で田舎暮らしをしようという方は,薪ストーブのある家を望まれていることがままあり,私もこれまでたくさんそうした家を設計させていただきました.ただしいつもご提案するのはメインの暖房は他に確保し,薪ストーブはあくまでも補助暖房にしましょうということです.寒冷地住宅の暖房は各部屋に熱源を設置し家全体をまんべんなく暖かくするというのが,快適性の上でふさわしいので,熱源が一ヶ所になってしまう薪ストーブをメインの暖房にするというのはお薦めできません.それに朝起きたら薪が燃え尽きていて寒かったというのも避けたいところです.冷え込んだ朝に寒い中布団から起きだして,ストーブに火を入れることのつらさは私たちが子供の頃の記憶としてはありますが,現代の住宅では避けたいことだと元来北海道で生まれ育った私は思います.
薪ストーブを設置する際,迷うのが煙突です.今までは煙突掃除のしやすさを優先して,ストーブを外壁近くにレイアウトし,すぐに壁から外に出して断熱煙突で立ち上げるという方法をとることにしていました.画像がそうした例です.
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このほうが煙突掃除が屋外でできるのでメンテナンスは楽なのですが,ただし断熱煙突が長くなるぶん費用がかかります.

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食品庫

北海道は山菜の採れる季節になりました.今は山菜の王様といわれる「行者ニンニク」,そのあとはウドやフキ,ワラビさらにはコゴミやタラノメ,クレソンなども採れます.
都会を離れ田舎暮らしをする人が増えています.私もこれまでたくさんのそうした北海道へ移住してくる方々の住まいづくりをお手伝いしてきました.田舎暮らしの住まいによく提案するのが食品庫です.週末にちょっと離れた街の大きなショッピングセンターに行って食品を買いだめし,それらを保管しておく場所,さらには季節にたくさん採った山菜などを塩漬けして長期保存する場所,そんな使い方で田舎暮らしには便利です.最近の寒冷地住宅は家全体をあたためますが,食品庫だけは暖房を入れずにすこし涼しくします.画像の食品庫は病院などで使う平底の流しを付けました.採ってきた山菜の下洗い等,いろいろな用途に使えます.
食品庫には魚介類などを冷凍保存する冷凍ストッカーもおけるようにしてあります.あるいはゴミ置き場としても使えます.
食品庫

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地産地消への取り組み

先にご案内していた「地材地消モデル住宅」の見学会は無事終了しました.私は当日,今回の取り組みの中心的な役割を担ってくださった丸善木材さんから朝,20名ほどの方と一緒にバスに乗りこみました.途中,弟子屈中学校に立ち寄り,道産材普及の事業で天板をから松の集成材にした机を見学したのち,美留和の現場に向かいました.雪解けのこの時期,あいにく敷地内は足下が悪い状態でしたが,釧路管内各地から50名ほどの方々が集まるにぎやかな見学会となりました.
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オール電化住宅

寒冷地での住まいづくりでは,暖房方式をどうするかというのはとても重要な要素です.まずは熱源を何にするかということですがかつて灯油が40円/Lくらいだったころは,ランニングコストからいって灯油が第1候補でした.でも灯油価格が現在のように80円/L超とかつての倍以上になってしまうと,オール電化住宅のほうがランニングコストが安くなってきます.そのようなわけで,最近はオール電化住宅にする住宅が増えてきました.
玄関に設置した蓄熱式電気暖房機
これは蓄熱式暖房機を玄関に設置した例です.蓄熱式暖房機は,セラミックの蓄熱体に深夜電力で熱をため込むという構造上,どうしても機器が大きくて場所をとりがちですが,このように収納と組み合わせることで,その大きさが目立たないようにしました.また,家に入って最初の玄関先が寒いとなんとなく感じが悪いので,できるだけ玄関は暖かくしたいと思っています.

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お風呂いろいろ

お風呂は当然のことながら裸になって肌が直接,建物と接するところです.ですからその素材にはいろいろ気を使いたい場所です.私は基本的にお風呂は床暖房にすることが多いです.お風呂に入ろうとして足を踏み入れたときに床が冷たいのはどうにも感じが良くありません.
伊豆石の浴槽
これは浴槽に伊豆石を使った例です.伊豆石は薄い緑色の細かい孔のあいた石で,水をかけるとさっとしみこむ柔らかい肌触りの石です.ぜひこの石のお風呂にしたいとのクライアントのご要望で採用しました.ちょっと心配だったのは水がしみ込んだ状態で凍結したら割れないかということでした.ですから,事前にサンプルを取り寄せ,水をかけて冬期間外に置いて試してみました.割れることはありませんでしたが,やはり冬季に使わないときは充分乾燥させた方が無難だと思います.

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窓周りの結露対策

北海道のような寒冷地での住まいづくりで気をつかうことのひとつが結露対策です.特に窓周りは要注意です.最近の断熱サッシとガラスは性能が良くなったとはいえ,やはり普通の壁の部分に比べると断熱性能が劣るため,結露が生じやすいのです.中でも北向きの窓,掃き出し窓のように大きな窓,出窓は熱が逃げやすいので,結露も発生しやすいところです.
窓下のパネルヒーター
一般に温水のパネルヒーターで暖房する場合は画像のように窓の下に設置します.この住宅の場合はメインは床暖房なのですが,この窓が北側に位置する比較的大きな窓なので,結露とコールドドラフト(窓面で冷やされた空気が重くなり下降気流となって床面を冷たい空気が流れる現象)を防止するためにパネルヒーターを設置しています.

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景色の見える洗面化粧台

カタログから製品を選ぶだけでなく,状況に応じてそれにあったものを作っていくのも住まい作りの醍醐味のひとつです.
景色が見える洗面化粧台
画像はそのひとつの例で,外の景色を楽しみながら使うことのできる洗面化粧台です.一般に洗面化粧台は正面に鏡があって顔を映すことにことになりますが,ここでは正面のきれいな景色を見ながら,なおかつ左右の収納を兼ねた造作のキャビネットの鏡を斜めにすることで,顔が見られるようにしました.クライアントとの度重なる打ち合わせで出てきたアイディアです.

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間接照明

建築家・吉村順三のことばに「欲しいのは光であって,照明器具ではない.」[講演対話シリーズ=住宅を語る 吉村順三]というのがあります.この考えを突き詰めると,造作の一部に光源が隠れる間接照明となるかと思います.
SG邸廊下の間接照明
画像は廊下の片側いっぱいに設けた収納の上下に間接照明の蛍光灯を設けた例です.突き当たりは玄関の下駄箱です.間接照明だけだと,収納の扉を開けたときに中が見えにくいので,天井にもダウンライトが設置してあります.画像はすべての照明がついた状態で撮影してますが,間接照明だけつけると,収納の扉と床と天井の間だけから光がもれて,なかなかいい雰囲気になります.

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本棚

私にとって現在一番の悩みは,本の置き場所が無くなりつつあることです.この悩みは本好きの私にとって一人暮らしをはじめた学生時代から今日に至るまで,繰り返しつきまとってきました.とにかく増える一方なので,仕方ありません.
NS邸本棚01 NS邸本棚02
画像のNS邸では,あらかじめかなりの蔵書があるとお聞きしていたので,できる限り本棚を作りました.

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アイランド式キッチン

アイランド式キッチンとは文字通りキッチンカウンターが島状になっているものをいいます.つまりキッチンカウンターが壁に接していなくてその廻りをぐるりと回れる状態の配置です.通常は吊り戸棚などを付けないでオープンな感じを保つようにすることが多いように思います.
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画像はKG邸のものですが,ここではカウンターの幅を広くして食卓も兼ねるようにしています.

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ペットと暮らす

私には5匹!?のアシスタントがいます.1匹のワン級建築士(ラブラドール・レトリバー犬)と4匹のニャン級建築士(いずれもミックスの猫)です.室内飼いをしているので,毎日掃除が大変なのですが・・・.
犬はともかく,と一緒に暮らすにはちょっとした工夫が必要になります.というのも彼らは爪を研ぐ習性があるからです.
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