コラム トップ

温熱環境の計画

私が事務所に使っている建物はもともとは「コージィベール摩周南」という温泉付き分譲地のセンターハウスです.豊富な温泉を利用してその熱で暖房しています.これまで寒いと思ったことは無かったのに今年はちょっと事情が違いました.1月の上旬,ものすごく寒い日が続き,部屋が暖まり切らなくなりました.最低気温が連日-25度以下になり,一日の平均気温が-17度といった日が一週間くらい続いたのです.さすがに暖房能力が追いつかなくなったのでした.
厳寒の日の出

続きを読む "温熱環境の計画" »

ふらの演劇工房

月曜塾の観楓会で見学してきた建物のリポート第二弾,ふらの演劇工房です.ドラマ「北の国から」の脚本でも有名な演出家・倉本聰さんが主催する劇団「富良野塾」がフランチャイズとする劇場で,運営は全国で最初にNPO法人を取得した「ふらの演劇工房」が行っています.設計は(株)中原建築設計です.工場長の太田さんに館内を詳しく案内していただきました.実は釧路の「浪花町十六番倉庫」が立ち上がるときもこの団体の方とはいろいろ交流し,アドバイスを受けたりしていた経緯があります.
ふらの演劇工房外観

続きを読む "ふらの演劇工房" »

食品庫

北海道は山菜の採れる季節になりました.今は山菜の王様といわれる「行者ニンニク」,そのあとはウドやフキ,ワラビさらにはコゴミやタラノメ,クレソンなども採れます.
都会を離れ田舎暮らしをする人が増えています.私もこれまでたくさんのそうした北海道へ移住してくる方々の住まいづくりをお手伝いしてきました.田舎暮らしの住まいによく提案するのが食品庫です.週末にちょっと離れた街の大きなショッピングセンターに行って食品を買いだめし,それらを保管しておく場所,さらには季節にたくさん採った山菜などを塩漬けして長期保存する場所,そんな使い方で田舎暮らしには便利です.最近の寒冷地住宅は家全体をあたためますが,食品庫だけは暖房を入れずにすこし涼しくします.画像の食品庫は病院などで使う平底の流しを付けました.採ってきた山菜の下洗い等,いろいろな用途に使えます.
食品庫には魚介類などを冷凍保存する冷凍ストッカーもおけるようにしてあります.あるいはゴミ置き場としても使えます.
食品庫

続きを読む "食品庫" »

あたたかい照明

冬至が近いこの季節,日が暮れるのが早くなりました.今日の釧路は夕方4時半ころには真っ暗になっていました.家の中で照明をつける時間も長くなります.住宅のインテリアでは照明をどうするかというのはとても大切な要素です.多くの人は昼間は仕事などで家にいませんが,夜は明かりのともる家で過ごすことになります.私は基本的に住まいの明かりは白熱灯のあたたかい光が望ましいと考えています.
ペンダント
画像はコードで天井から吊り下げる「ペンダント」といわれる種類の照明器具です.木をつかった室内の仕上げにあわせて木でできた器具を選びました.大きな吹き抜けのような空間ではそこにペンダントを下げることでより広がりが感じられるようになることがあります.

続きを読む "あたたかい照明" »

内と外

日本建築の特徴のひとつに内部と外部が連続して一体になった空間というのがあります.襖や障子を開け放すと室内と縁側,そしてお庭が連続してあるというものです.しかし,寒冷地である北海道ではなかなかあのような開放感のある建築ができません.一年の大半で暖房が必要なこの地では,家は厳しい自然環境から我が身を守るシェルターのような存在で,壁には断熱材を詰め込み,熱の逃げやすい窓は出来るだけ小さく・・・と,内と外の区別をはっきりさせる建築になります.しかし,伝統的なあの開放感のある日本建築へのあこがれは強く,なんとか擬似的に内と外の中間的な空間が出来ないものかという試みは,北海道の設計者にとっていつも重要なテーマです.
kn邸のサン・デッキ

続きを読む "内と外" »

廊下

比較的小さな家をプランニングする際は,できるだけ廊下のような通路空間を作らないようにします.廊下を経て各部屋があると,それぞれの部屋の独立性は高まりますが,家全体の一体感が損なわれます.小さな家の場合は家族が集まる居間を中心に,そこから各部屋に直接出入りできるようにして,一体感と空間の広がりが感じられるようにします.また,限られた面積の中で廊下をなくすことで各部屋がすこしでもゆったりするようにという意味もあります.しかし,廊下は無ければいいというものでもありません.大きな家で部屋数が多くなるとどうしても廊下が必要になってきます.また,機能が全く違う部屋と部屋を移動する際は緩衝地帯というか気分を変える空間として廊下は有効です.職住が一緒の場合など,住まいから仕事をする部屋に移動する際,廊下を経由して気分を変えるとか,居間から廊下という緩衝地帯を経てトイレに行くとか,そうした役割が廊下にはあります.
UT邸廊下
この家ではプランニング上,廊下がけっこう重要になりました.それゆえ印象的な空間にしようと考えました.すり板ガラスの天井の上には屋根のトップライトがあり,昼間には柔らかい光が落ちます.夜も白熱灯の光であたたかい雰囲気になります.

続きを読む "廊下" »

景色の見える洗面化粧台

カタログから製品を選ぶだけでなく,状況に応じてそれにあったものを作っていくのも住まい作りの醍醐味のひとつです.
景色が見える洗面化粧台
画像はそのひとつの例で,外の景色を楽しみながら使うことのできる洗面化粧台です.一般に洗面化粧台は正面に鏡があって顔を映すことにことになりますが,ここでは正面のきれいな景色を見ながら,なおかつ左右の収納を兼ねた造作のキャビネットの鏡を斜めにすることで,顔が見られるようにしました.クライアントとの度重なる打ち合わせで出てきたアイディアです.

続きを読む "景色の見える洗面化粧台" »

木造住宅の耐震強度

昨年末発覚したいわゆる耐震強度偽装事件により,建築士の資格についての建築士法の改正,建築確認制度に関する建築基準法の改正など,建築に関連する多くの法制で現在見直しが検討されています.私も毎日のように伝えられるそれらの情報に,目が離せない日々です.その中でも先日木造住宅においても建築確認において耐震強度の審査が義務化された<朝日新聞記事へのリンク>という報道がありました.これまでは確認申請において構造計算の審査が義務づけられていたのは鉄筋コンクリート造などの大規模な建物で,2階建て以下の一般的な木造住宅は建築士の設計であれば審査は除外されていました.
木造在来工法の軸組

続きを読む "木造住宅の耐震強度" »

間接照明

建築家・吉村順三のことばに「欲しいのは光であって,照明器具ではない.」[講演対話シリーズ=住宅を語る 吉村順三]というのがあります.この考えを突き詰めると,造作の一部に光源が隠れる間接照明となるかと思います.
SG邸廊下の間接照明
画像は廊下の片側いっぱいに設けた収納の上下に間接照明の蛍光灯を設けた例です.突き当たりは玄関の下駄箱です.間接照明だけだと,収納の扉を開けたときに中が見えにくいので,天井にもダウンライトが設置してあります.画像はすべての照明がついた状態で撮影してますが,間接照明だけつけると,収納の扉と床と天井の間だけから光がもれて,なかなかいい雰囲気になります.

続きを読む "間接照明" »

コレクティブハウジング

釧路町でできたばかりの「遠矢コレクティブセンター」と「遠矢公営住宅」を見てきました.建築設計事務所協会釧路支部での見学会でした.
遠矢コレクティブセンター正面
「釧路町型コレクティブハウジング」の画期的試みです.

続きを読む "コレクティブハウジング" »

改修工事とフィードバック

釧路市内にある内科医院の改修工事をしました.主に中待合い診察室の壁に腰壁をつくるという内容でした.
sc01.jpg

続きを読む "改修工事とフィードバック" »

アイランド式キッチン

アイランド式キッチンとは文字通りキッチンカウンターが島状になっているものをいいます.つまりキッチンカウンターが壁に接していなくてその廻りをぐるりと回れる状態の配置です.通常は吊り戸棚などを付けないでオープンな感じを保つようにすることが多いように思います.
ilndktn03.jpg
画像はKG邸のものですが,ここではカウンターの幅を広くして食卓も兼ねるようにしています.

続きを読む "アイランド式キッチン" »

手作りは楽しい

今回は手作りタイルを紹介します.画像は「お宿かげやま」の玄関に張ったタイルです.
kgtile01.jpg

続きを読む "手作りは楽しい" »

敷地を見に行く

設計を始めたらまず最初にすることが,クライアントと一緒に敷地を見に行くことです.(もちろん,設計の依頼を受ける前に一緒に見に行くこともあります.)なんともわくわくする楽しい瞬間です.また,早い段階でクライアントと敷地の状況について思いを共有しておくことは重要です.設計中,考えが行き詰まったり迷ったりしたときも再び敷地に足を向けます.「住まいづくり」の中にも記しましたが,敷地の条件を読むことは設計の出発点であり基本です.
KG邸敷地

続きを読む "敷地を見に行く" »