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敷地を見に行く

設計を始めたらまず最初にすることが,クライアントと一緒に敷地を見に行くことです.(もちろん,設計の依頼を受ける前に一緒に見に行くこともあります.)なんともわくわくする楽しい瞬間です.また,早い段階でクライアントと敷地の状況について思いを共有しておくことは重要です.設計中,考えが行き詰まったり迷ったりしたときも再び敷地に足を向けます.「住まいづくり」の中にも記しましたが,敷地の条件を読むことは設計の出発点であり基本です.
KG邸敷地

写真は鶴居村にある「KG邸」の敷地に最初に行った時のものです.道道に接した約6000坪弱の敷地ですが,なだらかな斜面になっています.クライアントは当初,道路からあまり遠くない斜面の途中に家を建てる考えだったようですが,二人で斜面の頂上まで歩いてみて,やっぱり一番眺めがいいからそこにしようと決めました.周辺の眺め↓
KG邸からの眺め
問題はアプローチの道路が長くなることと,冬季の除雪をどうするかということでした.このような取付道路は,土木を専門にしている会社に依頼すると,公共工事ベースのとてつもない金額の見積書が出てきます.そこで土木現業所への申請は私がすることとし,工事は土木が専門ではない会社と交渉し格安でやってもらうことにしました.また,除雪は結果的に近所の農家の人に,周辺の道路のついでにやってもらえることになりました.
私の大好きな建築家・吉村順三は,よく敷地でやぐらを建てて2階レベルからの眺めを確認していたそうです.NHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演していた建築家・中村好文氏との対談集「吉村順三 住宅作法」(世界文化社)にそうありました.この本,今アマゾンでは品切れになっているようですが,吉村順三の考えを中村好文がうまく聞きだしていてとてもおもしろい内容です.今また読み返してみたら,私の敷地に関する文章もほとんどが吉村順三のことばの受け売りだったことに気が付きました.大巨匠のことなのでお許し願えると思います.
吉村順三 住宅作法

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