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ふらの演劇工房

月曜塾の観楓会で見学してきた建物のリポート第二弾,ふらの演劇工房です.ドラマ「北の国から」の脚本でも有名な演出家・倉本聰さんが主催する劇団「富良野塾」がフランチャイズとする劇場で,運営は全国で最初にNPO法人を取得した「ふらの演劇工房」が行っています.設計は(株)中原建築設計です.工場長の太田さんに館内を詳しく案内していただきました.実は釧路の「浪花町十六番倉庫」が立ち上がるときもこの団体の方とはいろいろ交流し,アドバイスを受けたりしていた経緯があります.
ふらの演劇工房外観

建物は演劇専用とあって実によくできています.劇場は大きく分けて演じる側とそれを観る側に別れますが,観客側については一般の客席とは遮音された親子室があるし,舞台が見やすく快適でありながら舞台との一体感も感じられる客席だと思いました.さらに驚いたのは舞台の広さ,袖や楽屋などのバックヤードの充実ぶりでした.工場長さんによると「富良野塾」が世界中で公演した際に体験した数多くの劇場の良いとこ取りを結集した結果なのだそうです.演劇を演じる側が主体となって建てられた劇場なのだということがよくわかりました.

私が東京で学生生活を送っていた80年代は学生劇団を主体とした小劇場ブームが巻き起こっていた時期でした.野田秀樹率いる「夢の遊眠社」,鴻上尚史の「第三舞台」,渡辺えり子の「劇団3○○」などが脚光を浴びていました.当時私のお気に入りは「第三舞台」と「山の手事情社」でした.文字通り小さな劇場で,ひらの客席に支給されたビニール袋に靴を入れ小さな座布団に膝を抱えてぎゅうぎゅう詰めで座り,お尻が痛いのを我慢しながら芝居を観た覚えがあります.それでも役者の唾がかかってくるような臨場感と熱気が小劇場の魅力でもありました.

ふらの演劇工房は,大劇場のいろいろな演出が可能なバックステージと,小劇場の舞台と客席が一体となる臨場感があふれる,両方の要素を兼ね備えた劇場だと思いました.今度はぜひ観劇で訪れたいと思います.

演劇(芝居)はとかく都会の文化という思いが私にもありますが,地方からも発信できるのだという拠点として「ふらの演劇工房」にはさらに期待を寄せたいと思います.

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