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内と外

日本建築の特徴のひとつに内部と外部が連続して一体になった空間というのがあります.襖や障子を開け放すと室内と縁側,そしてお庭が連続してあるというものです.しかし,寒冷地である北海道ではなかなかあのような開放感のある建築ができません.一年の大半で暖房が必要なこの地では,家は厳しい自然環境から我が身を守るシェルターのような存在で,壁には断熱材を詰め込み,熱の逃げやすい窓は出来るだけ小さく・・・と,内と外の区別をはっきりさせる建築になります.しかし,伝統的なあの開放感のある日本建築へのあこがれは強く,なんとか擬似的に内と外の中間的な空間が出来ないものかという試みは,北海道の設計者にとっていつも重要なテーマです.
kn邸のサン・デッキ

私にとってもそれは同様で,これまでに「サン・デッキ」とか「サン・ルーム」という名称の空間を試みてきました.限りなく内部に近いけれど外部に開かれた空間です.具体的には南側に天窓を含め開口部を出来るだけ大きくとった画像のようなスペースです.
sb邸のサン・デッキ
結局,デッキテラスやバルコニーをつくってみても,あまり使われることが無いので,それよりは内部に外部に近い空間を作った方がいいのではないかと思います.外でデッキチェアーに座ってゆっくりお茶を飲もうと思っても,そんなことが出来る季節は限られてるし,虫がうるさくてゆっくり出来ないかもしれません.
それよりは洗濯物を干したり,観葉植物を置いたりといった使い方を想定していますが,それはそれでやはり冬期間は結露の問題が生じています.
tn邸のサン・ルーム.jpg
とかく閉じこもることになりがちな北海道の住まいで,外との関係を模索していくことはこれからも重要なテーマです.

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