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グループホームの消防検査

今日は竣工したばかりの「グループホーム家路」で消防署による検査がありました.おりしも直前に札幌のグループホームでいたましい火災事故があっただけにいつもより緊迫した雰囲気だったように思います.
グループホームの消防検査

認知症の老人が共同で住むグループホームで通常必要とされる消防設備は「火災報知器」,「消火器」,「避難誘導灯」です.それに加え延べ面積が275平方メートルを超えると「スプリンクラー」が必要になります.今回検査を受けた建物はそれらをすべて備えていますし無事検査に合格しました.

札幌の事故の報道にふれ思うのは,これらの消防設備のうち必須なのが火災報知器とスプリンクラーだということです.グループホームに入居しているお年寄りは火災が発生したからといって自力で避難できる人は少ないでしょう.それゆえに火災発生の初期段階でそれを感知する火災報知器,それと連動して自動的に消火をしてくれるスプリンクラーは重要です.誘導灯は避難経路を示すもの,消火器はもちろん初期消火のためのものですが,今回の事故の例をみてもいったん火がついてしまえばそれらはグループホームではあまり意味をなさないように思います.各種報道を見てもそうですが,建物の規模とは関係なくスプリンクラーは整備されるべきだと思います.

火災報知器の検査の様子

もとより今回火災事故を起こしたグループホームはスプリンクラーが無かったことのほか,もともと民家だった建物を改修していたことに起因する様々な問題も抱えていました.入居者の部屋が1階と2階に分散していたこと,避難口が限られていたこと,そして何より問題なのが暖房に石油ストーブを使っていたことです.

「グループホーム家路」は新築でもあるので,それらの問題点はクリアーしています.平屋建てで,メインの玄関の他に出入り口が4カ所あるので避難経路は確保されています.厨房の調理器具はIHヒーターだし,給湯は電気温水器,暖房も床下に埋め込んだ電気ヒーターを採用と,オール電化なので火の気はありません.主要な間仕切り壁は小屋裏まで防火構造で作られているので,万が一火災が発生しても延焼の恐れも少なくなっています.

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防災も大切ですが,もう一つ大切にしたいのが雰囲気.グループホームは複数の人が共同で住むとはいっても「施設」ではなくあくまでも「家」です.

このような建物はどうしても大きくなるので,窓から離れたところや中廊下は暗くなりがちです.それを克服するためにトップライトから光を取り入れることにしました.ただしあまり天井の高い吹き抜けの廊下が続くとアットホームな雰囲気が損なわれると思い,木製の格子天井で光は落ちてくるけど視覚的なスケールを抑えました.スプリンクラーの配管もこの格子のおかげで目立たなくなったし,なにより無垢の木材のおかげであたたかい雰囲気になったように思います.

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