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釧路根室圏総合体育館

いよいよ釧路根室圏総合体育館の建設が始まります.
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これまで釧路の総合体育館というと画像の釧路市厚生年金体育館でした.しかし,1963年の建設と老朽化が著しく規模も小さいことから各種競技の全国大会の誘致もできず,新しい総合体育館の建設が望まれていました.

私にとっては子供の頃,この体育館でロシアのボリショイサーカスを観た記憶がとても印象強く残っています.おそらくサーカスというものを生まれて初めて観たからだと思います.熊が芸をしたり,ピエロが笑わせてくれたり,もちろんハイライトは空中ブランコでした.妻はここで宝塚歌劇団の「ベルサイユの花」を観た記憶があるといっていました.体育館とはいえ,市民文化会館が出来るまではそうした各種公演やイベントによく使われていたようで,釧路市民にはなじみの深い建物です.ただ最近は機会が無く中に入ったことがありません.

今回の新しい体育館の計画については,さまざまな紆余曲折がありました.当初は道立の体育館を目指していましたが,北海道も財政が厳しい中,2003年に道立を断念し,釧路管内の自治体が建設主体となり国や道の補助を受けながらの建設と方向が変わりました.

私も含めた釧路の設計者からも,地場産木材を活用した木質架構による建設の提案をした経緯があります.その提案作業をした際,見てきたのが所沢市民体育館で,設計は坂倉建築研究所です.
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昨年,上戸彩が主演したテレビドラマ「アタックNo1」でも撮影に使われていたので,ご覧になった方も多いかもしれません.メインアリーナの中にはいると杉材の立体トラスでおおわれた空間は何ともあたたかく優しい印象で,素晴らしい体育館でした.第2回 木質建築空間デザインコンテスト最優秀賞にも選ばれています.
通常,この手の大架構には集成材などのエンジニアドウッド(Engineered wood products,EW)と呼ばれる木材を加工し品質を均質化したものを使うのですが,所沢市民体育館の特徴は地元でとれた無垢材の杉を使っている点です.木材を構造材として捉えたとき,よく問題になるのがそのその品質のばらつきですが,品質にばらつきがあるのは鉄でもコンクリートでも一緒で,要は検査によりその品質の最低ラインをきっちり管理し,そのばらつきのある性能を見込んだ中で安全性のある設計をすればいいわけです.木構造だから信頼性に欠けるとの思いこみは時代遅れです.

残念ながら釧路根室圏総合体育館では木質架構は取り入れられませんでしたが,素晴らしい建物になることを期待しています.完成は2年後の2008年です.

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