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パルテノン神殿

20代の時の長い旅で,最後に行き着いたのがギリシャのアテネでした.その地のアクロポリスという丘に建つのが古代ギリシャのアテナ神を祭るパルテノン神殿です.
パルテノン神殿

2年にも及ぶ旅の後半,資金も心細くなり,何より私は旅に疲れていました.アジアでは人々は貧しくてものんびりしていて,旅人にも温かかったのに,ヨーロッパではみな忙しく,全然違いました.建物など見るべきものはたくさんありましたが,長い旅の疲れで何を見てもあまり感動しなくなっていました.そんなわけで,最後の3ヶ月ほどはどうやってこの旅を終えようかということばかり考えていました.考えた末,最終目的地に選んだのがギリシャでした.ここから先に行くとしたら地中海を越えてアフリカか,もと来た道をアジアに戻るしかないからです.ヨーロッパ文明の発祥の地に最後に行くという意味もありましたし,なにより航空券が安いということもありました.ドイツのミュンヘンからアテネ行きの国際列車に乗りました.途中内戦状態のユーゴスラビアを抜け,ギリシャに入ると列車は突如遅れはじめ,荒野の中を走っては止まりを繰り返しながらようやくアテネに到着しました.
アクロポリスからのアテネの街

パルテノン神殿の外部を囲む柱はドリス式オーダーと呼ばれる様式です.私が大学の建築学科で最初にレポートに求められたのも,このギリシャ建築の柱の様式についてでした.柱の中央がふくらんでいることをエンタシスといい,法隆寺の柱にも見られることから,遠くギリシャの建築様式の影響であるといわれています.

athen03.jpg

その後,イギリスに行った際,大英博物館で撮影したのがこの画像です.本来パルテノン神殿の正面にある三角の破風部分を飾る彫刻です.世界中からの略奪品を集めたといってもいい大英博物館ですが,この彫刻についても返還運動があるとネットの情報にありました.どうなるのでしょうか.

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