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浪花町十六番倉庫

釧路の浪花町十六番倉庫古いレンガ倉庫を文化施設に保存・改修した建物です.NPO「浪花町十六番倉庫」により運営されています.早いもので今年で運営7年目となります.
浪花町十六番倉庫外観
この倉庫の改修にあたり,私は月曜塾の一員として深く関わることになりました.1998年からの2年あまりの期間です.

この建物は明治43年(1910年)ころの建造で,港湾都市・釧路の商業倉庫として使われてきました.小説「挽歌」で有名な作家・原田康子さんの生家が所有していたこともある建物ですが,現在はホクレンの所有です.
構造は木造による軸組にやはり木造の小屋がかかり,そこにレンガの壁が張り付いている「木骨レンガ造」といわれるものです.
浪花町十六番倉庫内観
この建物の改修にあたっては月曜塾のメンバーによる現況調査からスタートしました.調べてみると,建物がかなり場当たり的に建てられたものであること,老朽化していること,構造強度があいまいなことなどがわかりました.しかしそうした建物を限られた予算の中で,なんとか補強し文化施設として再生しなければなりませんでした.正直に言うと,この建物に関わっている間,私は寝ている間もうなされるほどのプレッシャーを感じていました.とにかく古い建物なので,計算しきれない建物の構造強度をどうやって補強するかということが問題でした.結局,木造の軸組を補強する一方で,自立があいまいなレンガ壁をカーボンファイバーを用いて軸組と一体化するという工法をとりました.
鉄扉のディテール
この建物との関わりは,たくさんの試練がありましたが,結果として私にとって郷土の街づくりといったものに深く関与することができたとてもよい機会だったと思っています.
そして,今なおこの施設の運営にあたっている人々の情熱にあらてめて尊敬の念を覚えます.

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