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柿渋

これまで天然素材の材料をいろいろ使ってきましたが,柿渋もその一つです.写真は新築時に撮影した「お宿 かげやま」の和室で,シナ合板に柿渋を塗った仕上げです.
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5月のことですが,妻がたまには温泉につかってのんびりしたいと言うので,「お宿 かげやま」さんに泊まりにいくことにしました.その時に和室を見せてもらったらこんな風になっていました.
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見事な色に変わっていました.この建物が竣工したのは2002年の秋なのでおよそ4年経っています.
この柿渋,日本では古くから使われていて,もちろんその名の通り柿から作られます.主成分は赤ワインの渋みの成分でもあるタンニンというものです.木材に塗ると防水・防腐・防虫効果があるとのことですが,なんといってもその深みのある色が魅力です.
何度か使ったことがあるのですが,注意しなければならないのはシナ合板に塗る際,まれに黒い斑点が出ることがあります.原因はよくわかりませんが,柿渋は鉄分と反応すると黒くなるそうなので,合板の製造過程でなんらかの鉄分が付着していたのかもしれません.もうひとつ,塗った後しばらくは独特の臭いがします.けっして有害なものではないのですが,あまりいい臭いともいえません.ですから室内に使う場合で,施工後に時間をあけられない場合は注意が必要です.
今回は泊めていただいたついでに各室をひととおり見させてもらいました.木をふんだんに使った建物なので,ところどころ収縮や割れなどの経年変化した部分がありましたが,全体に手入れが行き届いていて大切に管理されていることがわかりました.自分が手がけた建物が,時と共に味わい深くなり,オーナーさんに大切にされていることを知り,とても幸せな気持になりました.
「お宿 かげやま」のその他の画像はこちらです.

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