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最先端のローテク

旭川の北海道立北方建築総合研究所(通称:北総研)に行って来ました.
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 今回旭川に行ったのは月曜塾(釧路の設計事務所の集まり)で旭川家具木工祭を見に行くのが主目的でした.一泊二日しかも片道300キロあまりを車で移動の強行軍でしたが,なかなか充実した旅でした.その内容は順次報告するとして,まずは北総研(ほくそうけん)について.名前の通り寒冷地の建築・都市整備の研究施設です.平成14年にできた建物で,それ自体寒冷地における省エネのためのノウハウが取り入れられてます.ただ旭川は釧路と違って夏の暑さもかなり厳しいところとあって,暑さ対策がかなり施されています.あまり暑くならない釧路とはかなり事情が違います.具体的には冬の間に地下に貯蔵してある水を冷気で氷にしておいて,夏にはその氷があるところを通った冷たい空気を室内に取り入れることによって冷房効果をはかっています.説明を聞きながら,溶けきった水は腐らないのかなぁと思っていたら,年間を通して完全に解けきらないように加減して使うそうです.水温が3度以下だと黴びたり腐ったりしないとのこと.なるほど.
 で,興味深かったのはいろいろハイテクが盛り込まれているのですが,制御に関しては電気的な自動制御ではなく手動のローテクが主だということでした.というのも故障したときの修繕費はなかなか予算が付かないので,故障しにくいシステムにしようと考えたらそうなったそうです.
 考えてみるとコンピューターなどのハイテクは4,5年使えば時代遅れになって更新せざるを得ませんが,建物はもっと寿命が長いもの.一見便利そうな自動制御にあまりたよらず,ローテクで末永く使っていくことも重要だとあらためて思いました.

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