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校舎の思い出

3月末の「地産地消モデル住宅・見学会」の時,弟子屈中学校に立ち寄り,から松の集成材でできた天板の机を見てきました.これも道産材普及のための補助事業です.弟子屈中学校は私の母校で,中に入ったのは卒業以来ですから29年ぶりのことでした.弟子屈町のウェブサイトによるとこの校舎ができたのが1968年で,私が通っていた時点で築10年ほどだったことがわかりました.当時私が通っていた小学校はまだ木造で暖房も石炭ストーブでしたから,鉄筋コンクリートでスチーム暖房の中学校はとても新しく感じました.
から松の机

弟子屈中学校外観
久しぶりに訪れた校舎でしたが,あまりなつかしいという思いがわきませんでした.おそらく鉄筋コンクリート造の校舎は使われている材料が工場で大量生産されるいわゆる「新建材」といったものばかりで,経年変化の少ない味気ないものでできているからかもしれません.

私が通った校舎のうち,弟子屈小学校は建て替えられ現存しませんし,釧路湖陵高校も別の場所に移転して無くなりました.でもかつての湖陵高校の校舎はとてもなつかしく思い出します.とにかく古い校舎でした.それ以前の校舎が焼失してあわてて建てたようなので,かなりいい加減な部分もあったようです.鉄筋コンクリートと木造の部分が混在していました.暖房は石炭によるいわゆる「ルンペンストーブ」でした.窓は木製で,冬の風の強い日は粉雪が隙間から舞い込んでいました.くみ取り式のトイレは今では想像を絶するような悲惨な場所でした.
湖陵高校旧校舎の模型
画像は湖陵高校同窓会館にある当時の校舎の模型です.同窓会館にはかつての校舎の備品等が保存されているのですが,その中でとてもなつかしく思ったのが階段の親柱と職員室にあった鍵の保管箱です.私は山岳部に所属していましたが,その部室は階段の踊り場の下にありました.ようやく頭が着かないほどの低い天井のもともとは物置だった部屋です.そこに出入りするところにあったのが画像の手摺の親柱で,そして部室に出入りするたびに職員室に行って鍵を出し入れするのが,画像の保管箱でした.これらを見たとき,本当になつかしさで気持がいっぱいになりました.木製の柱は時の流れがしみ込んでいますし,鍵の手書きの名札も味わいいっぱいで,それらが記憶に深く結びついているのだと思います.
階段の親柱
鍵の保管箱
この春,弟子屈中学校を卒業していった若者達もいつの日か木目の美しいから松の机をなつかしく思い出す日があるのだと思います.

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